シーリング材の正しい知識をつける事で、増し打ち工事が(価格を安く・手間をなくすため)である事が理解できると思います。
目地幅にあった深さと、伸縮性が必要不可欠なのです。
10年、20年たち経年劣化したシーリング材の上に薄く(2㎜~3㎜)増し打ちしても
目地設計の意味では効果があるとは言えません。
シーリング材は
次の要件が求められます。
①水密性、気密性を付与できる材料であること
②部材が離れたら伸び、接近したら縮み、目地の ムーブメント に対応できること
③ 耐久性 に優れていること
④日本独特の意匠性も保つこと
外壁にはガラスやコンクリートの他、幕壁とよばれるカーテンウォールなどがあります。 カーテンウォール には金属製やPCa(プレキャストコンクリート板)などがあり、構造と素材の組み合わせにより変形の仕方や変形量が大きく異なります。
その為、外壁によって最適なシーリング材と プライマー を選定する必要があります。
シーリング材 が本来の防水機能を発揮するには、シーリング材そのものの物性だけでなく、目地構成部材(以下、 被着体 )に十分に接着することが基本です。しかし、被着体は多種多様で、これに表面塗装や表面処理されたものを加えるとその種類は無数にあります。これら多種の被着体にシーリング材を接着させるには、それぞれの被着体に応じた プライマー の助けが不可欠です。
プライマーの役割は以下の4つであり、ひとつとして見逃すことはできません。
①シーリング材と被着体の接着性の付与及び向上
②表面強度の脆弱な被着体表面の強化
③多孔質物質の内部からシーリング材表面への水、アルカリなどの浸出防止
④被着体またはシーリング材からの 可塑剤 などの 移行 防止
目地設計とは
目地設計は原則として「建築工事標準仕様書・同解説JASS8 防水工事」に示される流れに沿って行います。JASS8とは、一般社団法人日本建築学会が作成した防水工事標準仕様書です。
①目地に動きがあるかないかを判断してから目地設計に入る
②目地に動きがある場合、目地に発生することが予想される ムーブメント を算定し、必要な目地幅を決定します。
③目地幅に合った深さを決定します。
目地はムーブメントの大きさによって、 ワーキングジョイント と ノンワーキングジョイント の大きく二つに分けられます。前者は ムーブメント が比較的大きな目地をいい、後者はムーブメントが小さいか、又はほとんどムーブメントを生じない目地のことをいいます。
目地に発生する
ムーブメント
主な種類としては
次の5種類があります。
①温度変化による部材の伸縮→ 温度ムーブメント
②地震による層間変位→ 層間変位ムーブメント
③風による部材のたわみ
④部材の含有水分の変化による変形
⑤部材の効果による収縮
これらの大きさは、目地の種類、部材の種類、大きさ(形状・寸法)、色調、取付状態、暴露される状態(方位・日照)などによって異なります。
適切な施工方法とは
シーリング材の特性には、一長一短があり、1種類のシーリング材ですべてに対応することは困難です。
より適切なシーリング施工を行うには、建築物の規模、種類によって要求される性能に対して、目地に求められる諸機能を踏まえたシーリング材を選び出すことが基本となります。
シーリング材が本来の防水性能を発揮するためには、各工程の施工を満足に行わなければなりません。 シーリング材を使用する前には、目地の形状や被着体の種類をもとに適切な材料・プライマー・副資材 の選定が必要不可欠です。
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